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月明かりに照らされて

ファルクリース デイドラクエスト

ファルクリースでは、幼い少女を残酷な手口で殺した怪しい放浪者が噂になっている。

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墓守助手の二ルンに頼まれて、親友の灰を墓守に渡す途中、

ファルクリースの墓地で、若い二人の男女に出会った。

 

名をマシエスとインダラという。

 

どうやら近くで農場を経営しているらしいが、

その10歳に満たない娘が殺されたらしく、

その墓参りに来ていたのだ。

 

娘。

私にも娘がいる。

いや、いたはずだ。。確か。

 

そんなことはどうでもいいな。

 

マシエスの娘を、まるでサーベルキャットがシカを殺すように、

ズタズタに殺したというシンディングという男がすでに捕まり、

地下牢に拘束されているらしいので、まずは話を聞きに行く

ことにした。

 

シンディングは「ハーシーンの指輪」とやらの呪いで、

少女を惨殺してしまったらしい。

 

ありがちなサイコキラーの言い分だな。と思いつつ聞いていると、

自分は「月の影響を受けて変身する種族」であり「ウェアウルフ」と

呼ばれる存在だと語った。

 

貴様が「ウェアウルフ」なら私は「ヴァンパ・・・」、、なるほど。

 

吸血鬼はそこら中にいる。つい先ほどもファルクリースに吸血鬼が襲撃し

衛兵が辛くも退けていたところだ。

 

吸血鬼がいるなら、狼男がいても不思議じゃない。

 

だが、だからと言って、そのまま信じるわけでも、

少女殺しの罪が許されるわけでもないがな。

 

そう顔に出たのを気づいたのか、どうか、

シンディングは私に指輪を渡し、

ハーシーンに返して欲しい。

狩猟の神に謝り、呪いを解いて欲しい。

 

そう言い残すと、目の前で、そう、目の前で

巨大な黒き狼に変身し、そしてあっさりと牢屋から逃亡した。

 

ウェアウルフ

厄介な相手だ。見た目は普通の人間だが、その内面には

血と肉を求めてやまない野生の獣が低く唸りをあげている。

 

私はシンディングのいなくなった地下牢から出ると、

ハーシーンの指輪を返すため、森にいるハーシーンの化身と呼ばれる

獣の元へと向かった。

 

彼はそこにいた。

シンディングの話からするに、狩猟の神の化身というからに、

かなりの相手を想像していたが、そこにいたハーシーンの化身は

白くそして雄大なツノを持つ雄鹿だった。

 

そして、ハーシーンの化身はその身ではなく、その魂にこそ宿っていた。

 

ハーシーンは言う

「その指輪を奪った者に相応しい末路を与えよ。

彼の皮を剥ぎ、狩猟の神である私に捧げるのだ」

 

幼き少女の惨殺から、狩猟の神の報復まで話が広がったが、

結局のところこのハーシーンという神も、デイドラの仲間というわけか。

 

シンディングに同情する気はない。

少女を殺した罪は重く、それを受け入れずにウェアウルフの本性を出し

脱獄した彼に同情の余地はない。

だが、ハーシーンの言い分は、やはりどこか器が狭い。

指輪を奪われたのが気に食わなくて、呪いをかけた上に、

自分の手を汚さず、狩猟を楽しむように彼を殺せというのだ。

 

このまま背中を見せ、状況を放置してもいいのだが、

(おそらくシンディングが狩り殺されるのだが)

ウェアウルフとデイドラの争いを最前列から見るのも悪くはない。

 

うむ。この胸クソ状況を楽しんでやろうと思うなんて、

このスカイリムという土地に染まって来た証拠だな。

 

私は、シンディングが逃げ込んだとされる、

ブローテッド・マンの洞窟へと向かった。

 

紅血の月。(わが国ではハンターズムーンとも呼ばれる夜)

ハーシーンの力に引き寄せられた狩人たちが、そこにいた。

 

彼らは、私が行くとすぐに事切れるほど重症を負い、

そしてその先にシンディングがいた。

 

「お前は、どうして!?」

彼は私の姿に驚いているようだった。

それはそうだ、牢獄で話をした時には、このような状況になるとは

つゆほども思っていなかったであろう。

 

そして彼は、ある一つの提案を持ちかけてきた

つまり「見逃せば力を貸せる」

 

。。。

 

マシエスとインダラの娘を図らずとも殺したシンディング。

そして状況をそうなるよう仕組み、そして狩りにしてみせた狩猟の神ハーシーン。

 

私にもしハーシーンへの信仰や、信心があれば、ここでの答えは一つだろう。

 

だが、ハーシーンにとっては誤算かもしれないが、残念ながら

私は上から目線の気にくわない神よりも、

情緒不安定とはいえ話のできる相手を選ぶ。

 

私は、シンディングと共に、付近にいた狩人を一掃した。

 

シンディングはここブローテッド・マンの洞窟で生きて行くという。

 

人里離れたこの地で、文明と関わらず生きる。

 

少女殺しの罪は重く、決して許されるものではないが、

私にそれを裁く権限はなく、

自ら重き十字架を背負うと決めた者に向ける刃は持たない。

 

彼の決断を月だけがそっと認めていた。